「あのフォント、このフォント」〜アヴァンギャルドゴシック編〜

あなたも一度は見たことがある有名ブランドのロゴにも、身の回りに溢れる広告にだって、誰かがデザインしたフォントが使われている...知ればもっと好きになる。そんな世界のフォントを紹介する「あのフォント、このフォント」。本シリーズ記念すべき第1回目は、Catch+のロゴのベースにもなっている「アヴァンギャルドゴシック」を紹介します。

雑誌のタイトルのために作られたって本当?

アヴァンギャルドゴシック(Avant Garde Gothic)は、1967年から1971年の間にアメリカで発行された芸術誌『AVANT GARDE誌』のタイトルのために作られたのが始まり。編集者のラルフ・ギンズバーグ(Ralph Ginzburg)とグラフィックデザイナーのハーブ・ルバリン(Herb Lubalin)は、精力的に制作を行い、ロックやヒッピーに代表されるカウンターカルチャー全盛のアメリカで、芸術誌として政治や社会問題を時に激しく表現し、雑誌という媒体を通して社会に力強いメッセージを発信しました。彼らは、まさに「前衛的な」雑誌にふさわしいフォントを生み出したのです。

アヴァンギャルドゴシックハジオメトリックサンセリフ

アヴァンギャルドゴシックは、ジオメトリックサンセリフ系の書体の代表格と言えます。ジオメトリックサンセリフとは、「geometric=幾何学的」で「sanserif=セリフのない」という意味。ちなみにサンセリフの「san」はフランス語で「〜ない」、「serif」は文字の先端につく小さな装飾のことを表しています。例えば、アルファベットの「O」や「C」や「G」は、ほぼ正円の形をしていて、数字の「0(ゼロ)」もほぼ正円。幾何学的なフォルムを徹底することで印象的なフォルムを生み出しているのがアヴァンギャルドゴシックの特徴の一つなのです。

あのブランドもこのブランドも

この書体は、雑誌のタイトルからフォント化され、1970年にリリースされてから実に多くのブランドロゴに使われてきました。かの有名なスポーツブランド「Adidas」や日本を代表するアイドル「AKB48」、カナダの自転車ブランド「Louis Garneau」、初代ファミコンのロゴなどなど。例を挙げれば枚挙にいとまがありません。パッと目を引く幾何学的なフォルムと安定感、見た目の美しさを見れば、世界的なブランドが数多採用することも納得です。

魅力を引き出す「合字(リガチャ)」

あなたがグラフィックデザイナーやタイポグラファーを名乗るのなら、アヴァンギャルドゴシックの魅力を引き出す「合字(リガチャ)」という技法を知らないわけにはいかないでしょう。あれ、「合字(リガチャ)」って…?「合字(リガチャ)」とは、2つ以上の文字を重ね合わせて合体することを言います。この技法を使えば、異なる文字を組み合わせていろいろな文字を作ることができ、同じ文字の組み合わせでも見た人により強い印象を与えることができます。ジオメトリックサンセリフ系のアヴァンギャルドゴシックはまさに相性がよく、組み合わせ次第では文字と文字の重なりから新しい文字や記号が見えてくる…そんな表現もできるでしょう。アヴァンギャルドゴシックは、リガチャするっきゃない。

最後に

以上、アヴァンギャルドゴシックの歴史や魅力をお伝えしてきました。少し意識して街を歩いてみれば、あなたのすぐそばにあるかもしれませんよ。

あとがき~Catch+のロゴに込めた思い~

最近までグラフィックデザインの学校に通っていた私は、縁あってCatch+のロゴを制作することになりました。Catch+は、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が意欲的に制作活動を行い、表現し、繋がることができる場所。あらゆる人々の知識や経験、技術までもが重なり合って、新たな価値を生み出せるようにとこのフォントを採用しました。我々のサービスがクリエイターの力になり、求める人々に価値を与えられる存在になりますように。 Ryo

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この記事のライター

Ryo

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グラフィックデザイン,